7月の「QUICK短期経済観測調査(QUICK短観)」(調査期間:7月1~10日)では、参院選の争点である物価高対策を巡り、消費税減税や現金給付など企業にとってどの政策が望ましいのかについて聞きました。
まずは与党が参院選の公約に掲げる「現金給付」と主要野党が掲げる「消費税減税」の2択で、回答企業の事業にとってより望ましいのはどちらかを聞きました。製造業、非製造業など業種を問わずに7割強の企業が消費税減税を挙げました。恒久化しやすい消費税減税に対し、一過性の措置である現金給付は景気浮揚効果が限定的と受け止められたようです。

仮に消費税率が引き下げられた場合、以下の2つのケースそれぞれで事業にどのような影響があるかを聞きました。
(1)食料品の消費税率をゼロに 立憲民主党や日本維新の会が唱える食料品の税率を時限的にゼロにする策については、全産業の回答者の56%が「影響なし」と答えました。「プラス」と「ややプラス」は計40%にとどまりました。業種別の内訳をみると、製造業に比べてサービスなどの非製造業のほうがプラス評価が多い傾向がみられました。
(2)消費税率を一律5%に 国民民主党などが掲げる消費税率を一律5%に下げる策を巡っては、全産業の回答者の56%が「ややプラス」としました。「プラス」と合わせると79%が前向きな評価を下したことになります。「影響なし」は19%でした。
品目を問わず消費税率を一律で下げる方が、景気や企業業績への恩恵も広く行きわたるとの認識がうかがえます。もっとも、効果が大きい策ほど国家財政への負担も重くなることを、企業は理解しているようです。
今回の特別質問には多くの自由記述コメントが寄せられました。「長期的には消費税減税には反対」「財政の安定化を考えなければならない状況下で消費税減税はあり得ない」「ばらまきを言わない政党がないことが問題」など、財政の悪化に懸念を示す声が複数ありました。「消費税率変更の場合、システム改修などの問題や対象期間の暫定対応など、実務面で混乱する可能性が高い」といった指摘も聞かれました。
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